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唾液の分泌量について

口臭

唾液の分泌量が低下して口が乾燥する原因と分泌促進の方法とは?

更新日:

こんにちは、おくちせれぶです。
今回は意外と知られていない“唾液”についてのお話です。

「最近、口の中が乾いてしかたがないんです。」

「口が乾燥しているから風邪をひきやすいんじゃないかと心配です」

「ツバが出なくて食事が美味しくないんです」

草加ファミリー歯科・矯正歯科クリニックの小垣院長によると、このようなお悩みを抱えてご来院される方がたくさんらっしゃるようです。

唾液の異常については、成分などの変化は認識しにくいため、口の中の乾燥などによってはじめて認識されることが多いという印象でした。

実際には唾液の分泌される量は、安静にしている時と刺激を受けている時とではちがい、

  • 安静時  1分間に約0.3mL
  • 刺激時  1分間に1.5~2.0mL

が平均的な量であるといわれています。

意外と少ないんだね
粘膜の凹凸の間に貯めるから、これくらいの量で十分なのよね

ただ、唾液の量は様々な要因によって増加と減少を繰り返します。その中で、減少の時間が長くなってくると口の渇きなどを感じやすくなってきます。

また、唾液には粘り気の強いものや、サラサラしたものなど性質の違いがあります。唾液の分泌量だけでなく、性質の異なる唾液によってもお口の中に違和感が出やすいと考えられています。

そもそも、口が渇く」というものには

  • 口渇
  • 口腔乾燥症(ドライマウス)

の2種類があると考えられていて、別々の対処法を検討する必要があります。

なぜなら、口腔乾燥症(ドライマウス)は身体に問題があって実際に唾液分泌量が減っている状態であるのに対し、口渇は主に自覚される乾燥した感じを表現するときに使われるものだからです。

特に口渇の場合、実際に唾液の分泌量が減少している場合だけでなく、ネバネバした唾液の分泌量が増えている場合にも使われる表現となっています。

緊張している時に口が乾いたと感じるのは唾液の粘り気が増すからなんですよ

これらの唾液の性質や渇いた感覚に関するトラブルを理解するために、まずは唾液がどこから分泌されてくるのか?ということからお話ししたいと思います。

唾液が分泌される唾液線にはどのようなものがあるか?

唾液が口の中に出てくることを「分泌」といいます。

身体の中から口の中に「出る」というのはなんだか不思議な感じですね。

身体の内部でよく知られている分泌液には「胃酸」などがありますが、その他、膵臓なら膵液、胆嚢なら胆汁と、身体の様々な臓器では分泌液を出して生命活動を行っています。

私たちの口の中を湿らせている唾液も分泌液の一種でして、身体に対してさまざまな作用を持っている重要な分泌物なのです。

唾液は通常、唾液線と呼ばれる臓器によって作られ蓄えられています。唾液線には次のようなものがあります。

唾液腺の種類

  • 耳下腺
  • 舌下腺
  • 顎下腺
  • 小唾液腺

これらのうち、耳下腺・舌下腺・唾液腺を合わせて三大唾液腺と呼び、その他のものを小唾液腺といいます。
これらの他に歯肉溝と呼ばれる歯と歯ぐきの間にある溝から出てくる「歯肉溝滲出液」と混ざって「混合唾液」などと呼ばれることもあります。

耳下腺がある場所は、耳の下あたりになります。同じく、舌下腺は舌の裏側(下)あたりに、顎下腺は下顎骨の下のあたりにあるために、それぞれこのような名前がつきました。

また、小唾液腺は口腔内全体に分布していて、唇に確認できる場合は口唇腺などの呼ばれ方をする場合があります。

これらの唾液腺から開口部を通って、唾液が口腔内に分泌されます。

唾液は唾液腺から管を通って口の粘膜に出てくるよ。この時の出口を「開口部」って呼ぶんだ

1日の唾液の分泌量はおよそ1~1.5Lであると考えられていて、そのうちそれぞれの唾液腺からは

  • 耳下腺 25%
  • 舌下腺 約5%
  • 顎下腺 約70%

が分泌されています。小唾液腺は広い範囲に分布していて数もが多いのですが、分泌される唾液の量に関してはごくわずかになります。

三大唾液腺は、それぞれ分泌される唾液の性質が違います。

サラサラした唾液(漿液性唾液)は主に耳下腺から分泌されるものです。

反対に、ネバネバした唾液(粘液性唾液)は舌下腺から多く分泌され、顎下腺は両方の性質の唾液を同じくらい出します

では、このような性質の違う唾液はどのように制御されて分泌されているのでしょうか?

 

唾液の分泌を変える自律神経のはたらきとは?

身体にある様々な器官と同じように、唾液の分泌も自律神経の制御によって量や性質が調節されています

自律神経には交感神経副交感神経という2種類の系統の神経があります。

交感神経は主に興奮状態の時に働く神経系統で、たとえば心臓の鼓動を速めたりします。

アドレナリンを出して力を込めて働かせるイメージですね

反対に、副交感神経は主に安静時に働く神経で、心臓の鼓動は静まり、血圧は下降してゆきます。

副交感神経の作用ははリラックスしているイメーですね

交感神経と副交感神経は交代しながら身体の器官の働きを調節していて、このことを二重支配と呼びます。

唾液の場合、緊張感やストレスを感じているような交感神経が優位の状況では舌下腺が働くようになるので、唾液の性状としては粘稠性の高いネバネバした唾液が多く分泌されます

緊張した時に口が乾いた感じがするのは舌下腺から出る唾液がネバネバしているからだったのね

また、ストレスがない時や食事の際には副交感神経が働いている状況になり、唾液は主に耳下腺や顎下腺から分泌されるようになります。これらの唾液腺は主にサラサラな唾液を分泌してくれます。

ウトウトと寝ている時によだれが垂れてしまうのはこのためだったんだ!

このような自律神経の制御のちがいによって、安静時(副交感神経支配)には0.3mL/分、刺激時(交感神経支配)は1.5~2.0mL/分というような唾液の分泌量の違いも起こるのです。

ただし、唾液の分泌は一日中一定の量が分泌されているわけではなく、午後3時頃が最も分泌量が多くなり、睡眠中はほとんど分泌されません。これには唾液の分泌速度が関与しているといわれています。

このような絶妙に調節される唾液の分泌量ですが、この素晴らしい天然の自動調節装置を狂わせてしまうことがあります。

それはいったいどのような時でしょうか?

自律神経を狂わせ、唾液の量を減少させてしまう驚きの原因についてお話ししてゆきますね。

 

唾液の分泌量を減らす重大な2つの問題とは

口の中が乾燥してしまうということは、唾液の分泌を調節する自律神経か、唾液を分泌する唾液腺などの器官に異常が生じるときです。

特に怪我をしたなどのことがない場合、唾液腺の機能が損なわれることはほとんどありません。

一方で、唾液の分泌を調節するもの=自律神経に乱れが生じた場合には、口が乾燥してくることがあります。

そして、自律神経に影響を与える要因は主に次の2つが考えられています。

自律神経に影響を与える要因

  • ストレス
  • 薬の副作用
唾液の分泌は自律神経で調節されているから、悪い影響を受けないようにしなくちゃね

それでは順番にみてゆきましょう。
まずは、「ストレス」についてお話しします。

口の渇きとストレスの関係

身体の内側と外側の両方の側面から加えられる刺激のことをストレスと呼び、そのストレスの原因となる刺激のことをストレッサーといいます。

このストレッサーには「物理的ストレッサー」「化学的ストレッサー」「生物学的ストレッサー」「精神的ストレッサー」があります。

物理的ストレッサーには、暑さ・寒さ・騒音・振動・辛い・酸っぱいなどがあります。
化学的ストレッサーには栄養不足や栄養状態の偏り
生物学的ストレッサーには細菌感染・怪我・病気などが考えられます。
その他に、会社・家庭・学校などの人間関係などの精神的ストレッサーなどもあります。

これらのストレッサーによる刺激により、身体は交感神経が優位な状況となり唾液の分泌量が減ると考えられています。

交感神経が優位の時は舌下腺が働くのよね
興奮状態みたいになるから、唾液腺開口部などはキュッと締まるよね

また、この交感神経ばかりが継続して働き続けると、交感神経が休まなくなってしまったり、副交感神経と同時に働くようになってしまったり、どちらも働かなくなってしまうことがあります。

そのような状況の中では、さらに唾液の分泌が減少するといわれています。

薬剤の副作用による口腔乾燥

ある大学病院の調査によると、ご高齢の方の薬の服用の状況と口腔内に現れる副作用は複数の薬剤を飲んでいる人ほど口腔内の問題が出やすいという報告がありました。

病気を治すためなので難しい問題ですね
そうなんだよ。ただ患者さまの自覚としては口が渇くのは本当に辛いことだから、

我慢してもらうだけでは解決できないよね

その調査結果では、最も多く服用されているのが循環器系の病気の薬で、最も多い副作用の症状が「口が渇く」というものであることがわかりました。また、口腔内に現れる副作用は飲んでいる薬の数に比例していると報告もされています。

この薬剤による乾燥は唾液だけに限ったものではなく、涙や鼻水(病的でないもの)なども影響を受けます。これらの粘膜などに必要とされる分泌物が性状に出ることなく、多くの器官で乾燥してしまうものはシェーグレン症候群と呼ばれることがあります。

唾液の分泌を促進して分泌量を増加させるには

酸っぱい梅干しを想像しただけで、実際には食べていなくても唾液量が増加するなどのご経験があると思いますが、このように簡単に分泌されるはずの唾液が出ないということは、体内の調整がおかしいなどの原因が考えられることをお話ししてきました。

身体の反応や状態によって唾液の分泌量が低下してしまうのですから、まずはストレスの少ない生活に整え直すなどの大幅な健康上の改善が必要です。また、栄養状態を整えることや漢方薬の服用なども非常に有効です。

自然に唾液が出ることがのぞましいですよね

口腔乾燥症はおそらくフレイルとも深い関係があり、タンパク質の異化は予防してゆく必要があるのはもちろんのこと、薬の減らすことや副作用の少ない薬剤に変更してもらうことも重要な対策となります。

ただし、これら身体の内面の改善による原因療法的な唾液の分泌量の改善はとても時間がかかってしまいます。

とはいえ、焦ってどうにかしようと手抜きの生活改善をしてしまうのではなく、自然な回復がみられるようになるまでは水分補給や人口唾液、ガムや飴などの味覚や咀嚼の刺激を利用して唾液の促進を促すことをしておくことも必要になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

唾液の量が減ってしまうと、発音、咀嚼、嚥下(食べ物を飲み込むこと)、義歯の安定性、口臭など様々なことに影響が生じてしまいます。

その唾液を室からも量からも改善するためには、数種類ある唾液腺の種類や特徴に触れ、自律神経との関わりについて理解しておくことが重要でした。

そして、さらには交感神経の高ぶりにより唾液量の分泌が低下してしまうことより、自律神経の働きを正常にするために「ストレス」や「薬剤の副作用」を改善してゆくことが大切だということがお分かりいただけたと思います。

今回のお話を参考に、唾液の正常な分泌量を取り戻し快適な食生活を営んでほしいと思います。

唾液の改善は口臭対策にもなるので、ぜひ取り組んでみてね!
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おくちせれぶの発起人。自分の歯並びや口臭などにコンプレックスを抱えている。世の中の間違った「歯」の問題を解決するために現役歯科医とタッグを組み情報を提供中。

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