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誤嚥性肺炎の予防について

オーソモレキュラー療法

誤嚥性肺炎の予防に口腔ケアが効果的!?肺炎と歯周病の意外な関係

更新日:

こんにちは!おくちせれぶです。
今回は誤嚥性肺炎のお話ですが、実は若い人の肺炎とも深い関係があるんです。

あなたは次の項目であてはまるものがありますか?

  • タバコを吸っている
  • 歯周病だと言われたことがある
  • 最近、歩くのが遅くなった
  • ペットボトルの蓋を開けるのがしんどい
  • 食事中にむせることがある

これらの項目に1つでも当てはまることがあれば、将来的に誤嚥性肺炎や慢性閉塞性肺疾患になる可能性があります。

コ、コワイ・・・。

肺疾患はなかなか治りにくく、一度発症してしまうととにかく苦しく、日常生活にも支障をきたしてしまう恐い病気です。

そして、次に示す通り、死亡にまで至ってしまうこともあるのです。

高齢者や介護者だけじゃない!若者でもかかる肺疾患とは

実は、近年になって肺炎が増えているのをご存知ですか?

2011年、肺炎はおよそ80年ぶりに日本人の死因の第3位になってしまい、それ以降もその順位をキープし続けています。

 引用厚生労働省 平成29年 人口動態統計月報年計(概数)の概況

また、別のデータでは85歳以上の高齢者の肺炎による死亡率は男女ともに、若年成人の1000倍以上となっています。

また、WHOの調査では慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)という肺の病気は死因の第3位となっています。

この慢性閉塞性肺疾患は、日本での有病率は8.6%ほどと言われていて、40歳以上の530万人が罹患しているといわれています。

死因としては第9位になってしまっています

これらの肺炎ですが、たとえば入院した時に人工呼吸器を装着すると、気管内チューブを伝わって肺まで移動した口腔内細菌が肺炎を起こすことがいわれています。

医療関係者の間ではこのような口腔内の細菌と肺炎との関係は周知の事実として扱われていますが、まだまだ一般的には知られていないことです。

一昔前は結核が不治の病とされ大変恐れられていましたが、栄養状態の改善や住環境の清潔度の向上、ワクチンの普及などによって治る病気となりました。

そのことより、肺疾患の危険性は薄まったかに思われましたが、近年では再び肺疾患の危険性がいわれるようになってしまいました

ですので、これから高齢者や被介護者などの誤嚥性肺炎のみならず、慢性閉塞性肺疾患など広い世代に蔓延しつつある肺疾患について口腔ケアの観点から解説したいと思います。

お口と肺の関係は意外ですよね

 

誤嚥性肺炎とは?そのメカニズムと嚥下障害との関係


肺炎は一言でいうと肺胞の感染症です。そして、発症した環境により次の3つに分類されます。

肺炎の分類

市中肺炎:普段の社会生活を送っている中で発症する肺炎

院内肺炎:入院48時間以降に発症する肺炎

人工呼吸器関連肺炎:気管内挿管した後48時間以上経過して発症する肺炎

誤嚥性肺炎の多くは市中肺炎に分類され、通常、口腔咽頭に常在する細菌によって引き起こされるものです。

唾液中に含まれる口腔内細菌が嚥下障害や嘔吐反射の低下した人の下部の気道に入り、肺に到達してしまいます。

また、そのような人のうち、気管支や肺での感染防御機構の衰えがみられる場合に細菌の増殖が起きてしまいます。

その結果、誤嚥性肺炎を発症していくことになるというのが一般的に考えられているメカニズムです。

肺炎(特に誤嚥性肺炎)と歯周病の恐すぎる関係

実は、歯周病菌と肺炎の関係が明らかになっているのは

  • 院内肺炎
  • 人工呼吸器関連肺炎

の2つになります。

市中肺炎にはその他にも肺炎球菌や結核菌による肺疾患もあります

人工呼吸器関連肺炎(人工呼吸器のチューブを伝って感染する肺炎)では口腔内の細菌であるStaphylococcus aurenus、Pseudomonas aeruginosaなどが関与していると考えられていて、これとは別に腸内細菌などを加えたいくつかの細菌がコロニーを形成して重大な感染の供給源となることがいわれています。

また、院内肺炎についてのいくつかのシステマティックレビュー(エビデンスレベルの高い論文)では、口腔ケアを受けなかった患者さんは、口腔ケアを受けた患者さんの3.68倍もリスクが上昇したと報告されています。

さらに別のシステマティックレビューでは、口腔内の健康状態の悪さとの関連が示されていて、口腔内の衛生を保つことは入院中の高齢者や介護施設住人の閉園などのリスクを6.6〜11.7%もリスクを減らせると報告しています。

この報告では約10例に1例は死につながるような院内肺炎を防止できるという試算を出しています。

しかし、

市中肺炎はこれらの肺炎とは発病に関わる細菌が異なるといわれています。

歯科治療の際に行われる検査項目のうち、歯肉の退縮とプロービング検査時の出血については市中肺炎と強い関連性が示されています。

歯肉への炎症が歯肉炎程度の場合にはそれほどの関連性は示されませんでしたが、中等度〜重度の歯周病へと移行するとリスクが3.6倍に上昇しました。また、これに加えて喫煙習慣があるとリスクは4.4倍にまで上昇すると報告されています。

以上のように、いくつかの肺炎の原因には口腔内の細菌が疑われています。

一方で、適切な口腔ケアと良好な清掃状態が保たれていると、そのリスクが軽減することが示唆されています。

慢性閉塞性肺疾患って何?歯周病と関係があるって本当??

慢性閉塞性肺疾患とは気道の閉塞と炎症を特徴とする肺疾患のひとつです。

気道閉塞による気流の制限には、主に喫煙が関与しているといわれています。

このことは有害物質やガスに対する過度の炎症反応に関係していると考えられています。

世界規模の調査では40歳以上の9〜10%が罹患しているとされ、細菌やウィルスの感染により憎悪する可能性が懸念されています。

慢性閉塞性肺疾患での気道閉塞では、有害物質の長期的な吸入による曝露によって生じることもあり、呼吸機能検査で正常には戻せないものだと考えられています。

元に戻らないなんて恐いですよね

その反応は進行性であり、抹消気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に作用することがいわれています。そのため、肺気腫病変が優位の気腫型慢性閉塞性肺疾患と、抹消気道病変の非気腫型慢性閉塞性肺疾患に分類されています。

この慢性閉塞性肺疾患は悪化すると数種類の歯周病のマーカーが悪化するというデータが得られ、そのような面からも歯周病との関連性も示唆されています。

反対に、歯周治療を定期的に行った患者の追跡調査では、優位に慢性閉塞性肺疾患の発症の低下がみられています 。

やっぱり定期的な歯科検診は大事なことなんですね

誤嚥性肺炎や慢性閉塞性肺炎を予防する効果的な口腔ケアの方法


高齢者の誤嚥性肺炎は口腔内細菌が唾液と混ざって嚥下された際に、誤って肺の方に入ってしまったことが原因になることがわかりました。

また、慢性閉塞性肺疾患も歯周病の存在と関連性が示唆されています。

これらのことは既に数多くの論文で報告されていて、もはや見逃すことは出来ないほどになりました。

そして、誤嚥性肺炎や慢性閉塞性肺疾患のどちらの肺疾患に対しても口腔ケアが大切であると結論づけられている論文も数多く存在します。

そこで、

ここから実際に、口腔内をケアする方法について、いつ?どのように?行うといいのかについて触れていこうと思います。

この時、まず考えておかなければいけないことは、高齢者や介護されている方や歯周病に罹患してしまっている方の口腔内は食事の残りカスが通常よりも多く残ってしまっています。

その理由として、

  • 口腔内の筋肉が弱ってしまっているので、細かい食べ物のカスを食道へと送り出す力が足りない場合
  • 歯が欠けていたり傾いてしまっていて清掃性が悪い
  • 歯肉退縮や歯の喪失によって食渣の残るスペースが多い

などが挙げられます。

これらの特徴を踏まえて、次のような校口腔ケアを行うことが推奨されます。

通常よりも多めの回数のうがいをする

口腔粘膜の張りが衰えていることが考えられるので、たるんでしまった部分に食べ物のカスや飲み物が残ってしまう場合があります。それにより、腐敗産物や細菌の増殖が懸念されます。

また、食べカスの上から歯磨きをして効果が落ちてしまうことを極力防ぎます。

色々な角度や方向から網羅的に歯磨きをする

歯根露出や歯と歯の間が広い、歯が傾斜しているなどの口腔内環境の変化によって、歯が見える面積が増えてしまう可能性があります。この触れる範囲の全てが歯磨きの対象です。

一般的な前後に振るだけの歯磨きでは広い面積を網羅しきれない可能性がありますので、網羅的に歯磨きをするには様々な角度や方向から歯ブラシを歯面に当てることが重要になってきます。

楕円形を描くような歯の磨き方や、上下左右と歯ブラシを動かすなどの工夫が必要になります。それだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどの併用によって歯ブラシの届かない部分までしっかり磨くことが重要です。

舌や頬の筋肉トレーニングを行う

これは介護の歯科医療現場で特に重要だといわれて、ほとんどの現場で行われています。しかし、筋トレはやり続けなければまた衰えてしまうことなどから、その効果は曖昧です。

付随的な手段として行うことがよいと思われます。ただし、舌を動かすトレーニングについては、舌を動かすことによって舌苔が付着するのを防ぐという行為は、口腔内全体としての細菌数を減らすという意味合いでは有効と考えられます。

まとめ

いかがでしたか?

口腔内と肺疾患(誤嚥性肺炎や慢性閉塞性肺疾患)とが、このように密接に関係しているというのは意外だったのではないでしょうか?

今回のお話に加えて、歯周病による炎症についても注意しなければいけません。

体のどの部分であっても炎症が生じていると、インターロイキンやTNF-αなどの炎症性サイトカインが発生してしまい免疫系をおかしくしてしまうことや、腸内細菌叢の乱れを引き起こし免疫力の低下を招くことなども肺疾患の症状を助長してしまいかねません。

肺は肺、口は口と縦割りの治療だけで効果が出るのであれば、肺疾患の死亡率が3位まで上昇することはなかったと思われます。

たしかにそうだね

誤嚥性肺炎のみならず、慢性閉塞性肺疾患のような肺に関連する病気は、若い方にとっても放ってはおけない深刻な病気です。

その発端が口腔内細菌であることが言われている以上、口腔ケアが欠かせないことを意識してもらうきっかけになれば幸いです。

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おくちせれぶの発起人。自分の歯並びや口臭などにコンプレックスを抱えている。世の中の間違った「歯」の問題を解決するために現役歯科医とタッグを組み情報を提供中。

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